知人夫婦は年金生活の傍ら、小さな集合住宅の大家さんをしています。ごみの分別回収がとても細かい地域なので、マンションの住人が粗相をしていないか、毎回ゴミ出し場をチェックするのに目を光らせているそうです。
ある時、そのゴミ置き場に古びた自転車が捨てられていました。たまたま粗大ごみの日の前日だったため、「こんなもの、うちの地域で粗大ごみに出せるわけないでしょう!」と憤慨して、マンション住民に話をしましたが、誰にも心当たりはなかったのです。よくよく見れば、見慣れない名前が書いてあったので、剥がれかけた防犯ラベルのナンバーを見て警察に連絡してみました。
すると「ああ、隣町の●じいさんのですよ。色んな所に自転車を乗り捨てちゃう癖があるんですよねえ」という、のんきなようないい加減なような答えが返ってきました。そのおじいさん、別の所で乗り捨てた際には、当然住民が処分しかけました。すると顔色を変えてそこへ怒鳴り込むという所業にいたるのです。警察のアドバイスは「まあ、そのうち取りに来るでしょうから置いといて下さい。」
知人は困りました。粗大ごみにしか見えない汚い自転車を、いつまでもマンションの軒先に置いておけるわけがないのです。警察の交通課に相談し、2週間もしてからようやく隣町の管轄所に引き取ってもらったそうですが、綺麗好きの知人にとっては、ストレスきわまりない2週間だったそうです。